首都圏で相次ぐ「闇バイト」強盗事件を受け、警察庁は国民の「体感治安」悪化に危機感を示している。昨年11月、露木康浩長官は全国警察本部長会議で、戦略的な取り締まり強化を指示した。こうした世相を反映し、政治の世界でも刑法厳罰化を求める声が根強い。しかし、実際の犯罪統計は、長年にわたり減少傾向を示している。この「体感治安」と実態との乖離、そして1990年代以降の厳罰化の背景について、法学者の丸山泰弘教授は著書『死刑について私たちが知っておくべきこと』(ちくまプリマー新書、2025年刊行予定)で分析している。
### 犯罪報道と「体感治安」のズレ
現代社会では、テレビやインターネットを通じて、日々多くの犯罪報道に触れる機会がある。こうした情報に日常的に接していると、「日本の犯罪は増加している」「凶悪化している」と感じる人も少なくないだろう。しかし、捜査機関が認知した犯罪件数などの客観的なデータは、必ずしもこの「体感」と一致しない。丸山教授は、メディアによる犯罪報道のあり方と、それが国民の治安に対する認識に与える影響についても考察を深めている。
### 厳罰化が進んだ背景
丸山教授の分析によれば、1990年代以降、日本社会では刑法の厳罰化が進む傾向が見られる。これは、前述したような犯罪報道の増加や、一部の凶悪犯罪の発生などが、国民の不安を煽り、政治的な判断に影響を与えた可能性が指摘されている。犯罪件数が減少しているにもかかわらず、なぜ厳罰化が進められてきたのか。その背景には、社会心理やメディアの影響、そして政治的な思惑が複雑に絡み合っていることが示唆されている。教授は、こうした実態と認識のズレを理解することが、より適切な治安政策を考える上で重要であると説いている。
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